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アルツハイマー病早期診断に関する我々の技術
アルツハイマー病は認知症の原因となる第1位の疾患で、日本では約68%を占めています。アルツハイマー病の発症には、脳内におけるアミロイドβの蓄積が関与しており、蓄積したアミロイドβによりタウタンパク質の異常のリン酸化と神経原繊維変化形成が生じます。これらの蓄積、変化が神経細胞傷害を引き起こし、神経細胞が破壊されることにより認知症の発症にいたります。
アミロイドβの蓄積は認知症発症の20年ほど前か始まっており、その後神経細胞傷害が始まりますが、長期間認知機能は正常です。そのためアルツハイマー病の早期診断が難しく、軽度認知障害、あるいは認知症と診断されたときには、不可逆的な神経細胞傷害は相当進んでいます(図1)。そのため軽度認知障害や早期認知症の段階で治療を開始しても治療効果はあまり高くないことになります。
図1 アルツハイマー病における認知症発症までのバイオマーカーの変化
我々は、より早期に診断を行い、早期に治療を開始すれば治療効果は高く、患者さんの生活の質も改善されるだろうと考えています。その早期診断のためには、簡便な血液検査で診断できる安価な方法が必要です。そのためのバイオマーカーとしてAPP gencDNAが使えるだろうと考えています。APP gencDNAはアミロイドβのもとになるアミロイド前駆体タンパク質が分子内組み換えをおこしたのもで、神経細胞特異的です。血液中のAPP gencDNAの転写産物をSAD(アルツハイマー型認知症)とNCI(認知機能正常)で比較したとき、P値が5.14 x 10-6大きな有意差がありました(図2)。
図2 血漿中のAPP gencDNA(アミロイド前駆体タンパク質遺伝子の分子内組み換え体)転写産物のアルツハイマー病患者群(SAD)と非認知症者の比較
血液中のAPP gencDNAの転写産物をバイオマーカーとして早期診断を行い、早期治療を開始すれば、認知機能の低下を抑制し、患者さんの生活の質を向上できるだろうと考えています(図3)。
図3 早期診断、早期治療開始による認知症発症の抑制
文献:Shigeki Mitsunaga, Naoko Fujito, Hirofumi Nakaoka, Ryoko Imazeki, Eiichiro Nagata, Ituro Inoue. Detection of APP gene recombinant in human blood plasma. Scientific Reports 13(1): 21703, 2023.
特許申請:PCT/JP2022/041683
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